仕事のうえでの病気・ケガ
「業務上」または「通勤途上の事故」が原因の病気やケガは、健康保険で医療機関にかかることはできません。これらの病気・ケガは、労災保険が適用されるからです。
健康保険の範囲に入っていないもの
医療に直接かかわりのないものや、健康保険で認められていない薬や治療、必要以上のサービスなどは、健康保険の給付の対象になりません。
- 診察
- 医師の診察については、必要があれば、健康保険での往診をしてもらうこともできますが、往診車のガソリン代、タクシー代などは患者の負担となります。
- 薬の投与
- 厚生労働省の定める「薬価基準」の約16.000種の薬は、すべて健康保険で受けられます。薬の容器代は、患者の負担になります。
- 治療のための用具など
- ガーゼ、包帯、眼帯など治療のための用具は患者の負担が必要なことがあります。松葉杖、補聴器などは、必要な期間、貸してもらうこともできます。
- 処置・手術などの治療
- 精神療法、療養の指導なども健康保険で受けられますが、大学病院などが行う研究段階のものや、医学界で認められていない特殊な治療などは、健康保険では受けられません。
- 入院
- 入院中の食住費(標準負担額は自己負担)や寝具は、健康保険で受けられます。4人以下の特別室などについては、患者の負担が必要なことがあります。
病気・ケガとはいえないもの
病気・ケガとは、医師が手当の必要があると認めたものをいいます。次のようなときなどは健康保険を使うことはできません。
- 単なる疲労や倦怠
- 美容整形や近眼の手術
- アザをとるなど先天的な皮膚の病気の治療
- 正常な妊娠・出産
- 健康診断
- 予防注射
- 経済上の理由による妊娠中絶
犯罪やけんか、酔っ払いなどによる病気・ケガなど
次のようなときは、健康保険からの給付が一部制限されたり、まったく給付されないこともあります。
- 故意の犯罪・事故
- けんか、酔っぱらい、麻薬中毒による事故
- 医師の診断や、健康保険組合からの指示などに正当な理由がなく従わなかったとき
- 詐欺などの不正行為によって保険給付を受けようとしたとき
- 被保険者が刑務所や少年院にいるとき
介護保険の給付を受けられるとき
介護保険により療養病床などに入院している場合や、同じ病気・ケガで介護保険のサービスが受けられる場合は、原則として健康保険の給付は受けられません。ただし、急性期や別の新たな病気で保険医療機関で受診したときは、健康保険の給付の対象になります。